六人の嘘つきな大学生 感想

2022.05.17

小説の感想です。ネタバレあるので注意です!

久しぶりに積読の消化をしようと思い、手にとったのがこの本、

六人の嘘つきな大学生」です!

成長著しい IT 企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。 Amazon より引用




いやーーーーー面白かった!




ミステリの題材に就活を選ぶセンス!すごい!

いや就活の題材にミステリを選んだのか?とにかくすごい!!

最初は「なんで就活?奇をてらったのかな?設定は面白そうだから読んでみるかな?」

とハードル低めだったのですが、読み終わってみると、なるほど……。

就活を選んだ理由がようやく分かりました。

まさしく、月の表と裏なんだと。ミステリの、人間のおもしろい所はそこだろと。そういうことですね多分。


ストーリーがかなり綺麗に仕上がっているので、映画にしやすそうな印象でした。

若手俳優さんの活躍場所に良いのでは。でもスーツだと映えないか。

作者の浅倉 秋成さんはまだお若いようです。他の著書も読んでみたいな。応援しております。

ここから下はしっかりネタバレありです。注意!

疑問点(ネタバレあり)

うーん……と思ったらところ。無くはないです。

まず伏線。露骨すぎる!伏してない!隠してくれ!

とくに気になったのはシマ(なぜか変換できない)の足の話。

割と序盤で波多野がシマに歩くペースを合わせる描写がある。

ここまでは完璧。軽い知り合いがいたら近くを歩きたくなるのはすごく共感。これこそミスリード。

問題はその後。原文ままではないですが、


他の学生にもゆっくり歩きましょうと告げる。

シマは申し訳なさそうに礼を言う。


だめでしょー!ここまで書いちゃ!シマが足悪いんだってわかるよ!さすがに!

この他にも「え、なんで?」を解消しないまま次へ進んでしまうことが何度かあった気がします。

あ、これ伏線なんだ。ってわかっちゃう。だから後半のバラシであまり驚けない。


まぁでも、そこまで計算の内でした!っていうなら、それはそれでアリかもしれません。

なにせ、これらの伏線の多くは「バレてしまって問題なし」ですから。

むしろ、本筋を隠すために見え見えの伏線をバラまいた、そうとも考えられます。

いや、でもシマの足の件はだめでしょう。(それとも何か見落としてる……?)



あとは、犯人に波多野が選ばれた理由。謎です。

展開としてそれが一番おもしろいとは思う。でも、なぜ波多野?

結局、作中で波多野の悪行は分からないままだったから、どうしてもモヤっとしてしまいます。



あとひとつだけ。最後の方で、波多野の妹が「優秀な人」投票は「好きな人」投票みたいなもの、という旨の発言をしており、

それに対してシマは、「いやはや、本当に鋭い考察だ」と言っています。しかも文字に点々打ちで強調までされて。


どういう意味!?!?


すみません、これがわからなくて、一番モヤっとしてます。

何がモヤっとするかって、その考察が当たってるとするなら、

「シマは九賀に 6 票中、5 票を投じている」のですが……?

それとも、てんで的外れだから皮肉なのかな……?

わからない……。国語得意な人教えてください……。

おもしろかった所

さて、ネガティブな意見はこれくらいに留めて、次は面白かった所です!

私が一番盛り上がったのは、シマ編(勝手に名付けた)が始まった時でした!

「最終面接終わったし、ピークは過ぎたかな。もちろんシマが犯人でしょ知ってる知ってる。」とか思ってました。ばか!

むしろここからが本番だった!

どこまでちょろいんだ私は!

まず最終面接編を前半で終わらせたのが、結果すごく良かったです。

暴露ペース早っ!え!!?お前が封筒置いたの!?もうわかっちゃうの!?

と、こんな感じでテンポがめっちゃ良いです。息つく暇もないといいますか。

でも正直言うと、最終面接だけで終わってたらまーーーーーー消化不良だったかなと思います。

そこで、シマ編ですよ。

犯人告発の瞬間に物語が再加速!ここのギアチェンジ最高です。


そして前半でちょいちょい挟んでるインタビュー。これもいい仕事してます。

読んでる時は「何してんのこれ?」状態でした。

一人一人ネタ晴らししていくの……?それやったら簡単に犯人絞れるけど……?くらいに思ってました。

そしたら!




シ マ 編 は 既 に は じ ま っ て い た




盛  り  上  が  っ  て  参  り  ま  し  た  !  !  !




インタビューはシマ編、つまり後半の準備は着々と進められていたのです!




しかも、しかもだ。

このインタビュー、物語の最重要箇所であるにもかかわらず、超油断して読んじゃう。

仕方ないって。だってインタビューですもの。

最終面接の続きはーー!!ってなってますもの。

完璧なミスディレクションです。本当にありがとうございました。

結果として、インタビューを安直に受け止めてしまった。


それこそが作者の狙いだとも気づかずに!!




そしてラスト。ZIP と封筒の真相。

私「いや!ジャスミンティーでしょ!絶対ジャスミンティーだよ!なんで気づかないの!?」

ZIP「正解は……?」

私「jasmine……?」

ZIP「ブブーーーー!!!wジャスミンティーじゃありませーん!!!wwwww」

パスワードはシンプルに騙されました。これは良い露骨ですよね。

誰がどう見てもジャスミンティーですよ。パスワードは。

けど、質問文がちょい怪しい。犯人でも間違える可能性ありそう(笑)




で、本当の本当のラスト。

さっきググったら書店 POP 画像で「ラスト 30 ページ、すべての事実が覆る。」と書いてありました。

(この POP 見なくて良かった~。未だにこの手のネタバレ広告よくわからないです。)

その文言通り、すべてが覆るわけですが、

ここまできてようやく、「あー!この物語ってそういう話なのか!」とスッキリできました。

「私たちが見えるのは、その人のほんの一部だ。なのにそれを見てすべてを知れると思うな!」

そういう話なんだと思いました。

「だから就活だの嘘だのあーだこーだ言ってたのか!」と。

振り返ってみると、この小説はずっとそれしか言ってないじゃん!と感動しました。

さらに、これでトドメ!と言わんばかりの、波多野の秘めたる告発文。

波多野は聖人っぽくなってたから、なんとパンチのあることか。




かつてのシマは、人の表面だけ見て、誰でも信じてしまっていた。

そして最終面接をきっかけに、人には裏の顔があることを知り、信じられなくなる。

前半と後半で真逆のシマ。けれど最後は事件解決と共に、成長したシマになる。人には表も裏もあるから。




こんな感じでしょうか。ハラハラドキドキ、巧妙な文章、面白かったです!

おわり

駄文も大概ですが、以上、「六人の嘘つきな大学生 感想」でした!

最近在宅が終わり電車通勤してるので、読書の機会が増えたらいいな~。


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Written by void : Twitter

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